Grass Note

くさむすび苦手

でんじほうを3回当てるだけの簡単なお仕事

お久しぶりです、ペケです。

前回の痴態を晒し続けるブログを書いてから早くも半年が経過してしまいました。

今回もそんな感じのノリでしょうもないことをつらつらと痴態を晒していこうと思います。

svの構築記事っぽいタイトルですが全然関係ないです。

 

前回のブログを書いてから色々あり11月中旬に彼女ができたのですが、20日ほどで別れを告げられたためそこら辺の報告になります。

ほぼほぼ日記みたいなものなので自分に興味のない方はブラウザバックしてください。勢いだけで書き上げた結果、10,000字近くある上に読みづらいと思うので暇な人はだけどうぞ

 

サムネ用

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とりあえず彼女を作ろうとする

彼女を作ろうとして僕が最初に始めたのがマッチングアプリであった。今現在僕が所属するコミュニティは大半が研究室だ。研究室は男女比が6:4で理系の中の理系の極みである機械系の学科ではマシな方なのだが、まともな関係を築けるような環境ではなかった。後輩女子に軽い気持ちで言い寄ろうものならそいつは「ちんちん丸」という不名誉なあだ名をつけられることを覚悟する必要があるのだ。

そもそも研究室において僕はやたら裸の写真がグループラインにあげられる可哀そうな奴としてしか認識されていないようだった。

そんなこんなで新天地を探す必要があり、マッチングアプリを始めたのだが、陰キャである僕には最大の障害があった。

自分が映った写真を持っていないことである。

この記事を読んでるメイン読者層の陽キャパリピの皆様には理解できないかもしれないが、陰キャは基本的に写真を撮らないし撮られないのである。だから、旅先で撮ったいい感じの写真なんて無いし、それっぽいおしゃれな場所で撮る自撮りも持っていないのが普通なのだ。

 

適当にTinderをやってみたりもしたがあまりマッチ率が高くないため、不定期に起動しては「うん、無理だ」とつぶやくだった。

 

後輩に紹介を頼む

マッチングアプリをガチる気力もなく適当に過ごしていた七月のある日、研究室の二個下の後輩からこんな誘いを受けた。

「ペケさん、彼女欲しくないですk」

「欲しいです!!!!!!」

相手が言い終わるより先に地にひれ伏し嘆願していた。床オナで全日本代表選手になった経験がここで生きたと思った。

詳細を聞かずにとりあえず意思表明だけしたので事情を詳しく聞いてみると

・バイト先の一個下の後輩が彼氏募集中

・中高大女子校で出会いが無い

・コロナ禍も相まってさらに出会いが無い

マッチングアプリ使えよとは口が裂けても言えず、とりあえずインスタの加工盛り盛りの写真を見せてもらったのだが、陽キャの波動を感じて無理だと察した。

「紹介相手間違ってない?美人局?」

「学歴と就職先がましな人探してるっぽいです」

どうやらもともと後輩と同じ班の先輩(来年から証券会社の投資銀行部門で働く)を紹介しようとしたが、バカはいやだとあっさり断られたため、なんかやたら女に飢えてそうな僕に白羽の矢が立ったそうだ。

学歴があれば彼女は意外とできるよと前にYたさんに言われたことを何となく思い返した。合コンをその内開くという約束をしてその日は終わった。

 

実際に会ってみた

合コンをする約束を取りつけてから2か月ほどたった9月のある日、後輩から今から連絡先送ってもいいですかという連絡が突然やってきた。どうやら相手の子が8月の間一か月ほど留学に行っていたのと、合コン開くのだるくなったのが影響していたようだ。

 

相手の連絡先をもらってラインでやり取りをしていたのだが、数回やるうちに「これ後輩にもライン横流しされてるな」と感じた。そのまま話し続けるのも思考盗聴されているみたいでいやだったので次の週に直接会えませんかとお誘いし約束を取り付けた。

次の日に後輩に合うと

「ラインの文面童貞臭いっすよ」

と言われて

「うるせーよ処女」

と言いそうになったけどコンプライアンスに引っ掛かりそうだったので、適当に童貞だからしゃーないだろとか返した気がする。男女平等って何だろう?

後輩には紹介手数料としてサークルの後輩で一番まともそうなぐ○くんを逆に紹介したが、それはまた別の話なので割愛する。

 

一次面接に向けて色々と準備している間、不運なことに僕はコロってしまった。正直昨年一年間に比べて今年はまともな生活をしていたので感染するとは思っておらず割とショックだった。何より一次面接の日に在宅療養期間が重なり、合えなくなることが大きかった。

リスケを申し込んでから再び連絡を取り合うようになり、相手が映画が趣味ということからオススメを教えてもらった。少しでも相手との話の種を増やそうと思い、オススメは全部一通り観た。

自宅に監禁され、人との関わり合いに飢えてる中で唯一会話するのがその子だけだと、なんかこう色々刷り込まれていくように感じた。

 

そして一時面接当日、事情を知る研究室の人たちに背中を押されながら戦地へ赴いた。令和の電車男になれるとその時は信じ込んでいた。待ち合わせ時間ちょうどに着いた相手は写真で見た時よりも大人びた印象で、

「今からこの子とマンツーマンで話すの無理、詰んだ」

と思った。よくよく考えなくとも僕は女の子と私用で二人きりで話したことが無かったのだ。ゴミカス陰キャここに極まれり。

軽い挨拶を済ませ、お店に行ったけど正直ガチガチに緊張していたと思う。

 

「お前のことだから話す内容絶対なくなると思う」

と同期に言われて予め会話内容のデッキを組んでいたからそれなりに話すことはできていたと思う、多分。

その日は、お互いのこととか無難な会話をしていた。

二件目で自分一人だったら絶対に入らないようなバーに入って話しているうちに、その子の誕生日が近いことが分かった。どうしても二次面接の約束を取り付けたくて

「お祝いさせて」

と懇願したところ、OKサインを貰えた。次の約束を取り付けることが一時面接の勝利条件だったため、僕は燃え尽きた。

 

面接は続く

二週間後に誕生日祝いと称して二次面接を終え、三次面接では一日映画とか見ながらのんびり過ごそうという話になった。一日遊ぶとなると、僕は土日しか無い上に土日の休みすらも不条理に破壊されることが日常茶飯事であった。そのため、三次面接は二次面接の一か月後の11月中旬になってしまった。

さすがに間が空きすぎてやばいなと思い、ラインの連絡だけは毎日続けるようにしていた。

三次面接の準備をしている最中周りから

「次会ったとき告るの?」

と聞かれた。どうやら平均的に三回目で告るのが普通らしかった。普通って何だろうと思ったけど、僕は彼女がいるという事実を欲しがっていた上に相手の外見も内面もアリだと感じていたのでとりあえず告ることにした。

 

三次面接の最後に公園に寄りベンチに座り、会話する中で僕は告白した。その日は「すずめのとじまり」を見ていたので、新海誠作品を見た後に告るというあまりにもベタなムーブをかましてるなと思ったがどうでもよかった。YesかNoどちらでもいいから回答が欲しいと思ってる中でその子の第一声は

 

 

 

「わかんないよ」

 

 

 

だった。

「全然好意があるように感じられなかったし、ボディタッチとかも全然無いし分かんないよ」

とのことだった。

「嫌いな奴と頻繁に遊びに行きたいと思うか」

と突っ込みたかったが、とりあえず相手の言い分を続けて聞くことにした。

「正直まだ今は恋愛感情持てないから、しばらく彼氏彼女の関係になってみよう!」

「???」

よくわからないけど、OKサインは貰えたらしい。

ただこれって俗にいうキープではと思い、一気に感情が冷めていくのを感じた。

いま改めて考えると、はっきりとYesかNoで答えてもらえた方が幸せだったと思う。しかし、当時の僕は彼女がいるという事実が欲しかったためその返事を受け入れてしまった。

そこから、付き合うに当たってのルール決めという名の誓約と制約を結ぶ作業が始まった。

 

・私は恋愛感情を持った付き合いがこれまで一度もできてないから、恋愛感情を持たせられるようなるべく好意を伝えて!

・週一回は必ず会おう!毎日会うカップルとかいるけどああいうのは重いよね!

・連絡はなるべく取り合おう!通話も好きだからしたいな!夜の1時くらいにかけてくれたら出られるよ!

・もっと垢抜けた姿になってほしいな!私に投資しするより自己投資した方がお互いのためになるよね!

・浮気はしてもいいけどばれないようにね!異性のいる飲み会すらだめという人もいるけどああいうのってさすがに無理だよね!

 

ざっくりまとめるとこんな感じである。正直理解できるのは四個目くらいだったけど、まあ他のやつも何とかなるやろの精神で受け入れることにした。好きになってもらえるように努力するよと意味の分からない返答もした。

そうして、僕に彼女(仮)ができたのであった。

 

付き合い始めてから

前述の誓約と制約に基づいてそれなりに関係を続けていき、二週間ほどが経過した。このころにはクリスマスも近づいてきたため今年のクリスマスはもう一人じゃない!と浮かれながら日々を過ごしていた。

そんな11月下旬のある日に研究室の秘書さんが退職されるということで、送別会兼飲み会が開催された。

普段お話ししない秘書さんではあったが、僕に彼女ができたことも知っており、そのことでいじられた。どこが好きなのとかどんな感じなのとか当たり障りない質問が投げかけられていった。その中で、

「クリスマスどうするんですか?」

と聞かれた。その頃、僕はどうクリスマスを過ごすべきか悩んでいた。

「まだ考えてないです」

「なんでクリスマスの予定まだ決めてないんですか!!」

とガチギレされた。クリスマスシーズンいいお店やホテルは数か月前から予約が必要という事実を僕は知らなかったのだ。立て続けに

「そんなんでホテルとかどうするんですか?」

と聞かれてしまった。

今まで請求書を出し忘れたり、予算の金額が間違ったりしていた時でも優しく笑って何とかしてくれていた秘書さんだったこともあり、状況が呑み込めずアワアワしていた。

周りの先輩が

「こいつまだピュアだから勘弁してくださいw」

と言うことで何とか落ち着きを取り戻したが、その後はとりあえずクリスマスまでに一発やることやりなさいと言われてしまった。20代をバブル時代の商社で生き抜いてきた人の言葉は違うなと思った。近くにいた共同研究先の30代や40代の医者にもとりあえずやっとけと言われてしまい、僕の次の目標は「セックスすること」になってしまった。

実際彼女が出来た時にやりたいことを具体的に考えていなかったため、それまでの二週間はただマンネリと過ごすだけだった。向こうから好意を寄せられていないこともあり、体の関係を求めてもなと思っていたため、一歩踏み出せずにいた。

次の日から、クリスマスのお店やイベントを探すと同時に色々と準備を始めた。都会のクリスマス期の価格設定の暴力に叩きのめされて絶望しているうちに、僕は誓約と制約の一つである「連絡を取り合うこと」をおろそかにしていった...

 

死刑宣告

クリスマスのイベントを探し終えて相談通話しようと思ったある日、夜の10時半ごろに向こうから電話がかかってきた。普段はこちらから電話してるので珍しいなと思いながら、応答して用件を聞くと

 

 

 

 

 

「本当に私のこと好きなの?」

 

 

 

 

となんかドラマとかでよく聞くセリフを初手に浴びてしまった。

「最近連絡も無いし、連絡とってもさっさと話切り上げちゃうし本当に私に好きになってもらおうとしてるの?私に飽きたなら別れよ」

「えーと」

どうやら誓約と制約の中でも連絡を取り合うという部分に重きを置いていたようだった。僕は正直毎日連絡取り合わなくてもお互い話がしたくなった時に連絡とればいいやろというスタンスだった。しかし、彼女からすれば付き合って間もないのに連絡をよこさないのはあり得ないということらしい。この辺は後々色々な人に話を聞くと100%僕が悪いという結論に至った。そんなもんなのか。

僕は彼女に対して好意を抱けているか微妙だったが、一応「大好きだよ」とか「ちゃんと会おう」とか「クリスマスこういう所どう?」とかご機嫌を取りに行った。15分ほど粘り最後に

「それじゃあまだ付き合い続けるということでいいのね」

という言葉を頂き何とか契約の継続を勝ち得た。通話中は変なテンションになってたけど通話後あれこれまずくね?と思いそれなりにへこんだ。

次の日の夜、彼女から「元気?」と一言だけ連絡が来たので前日のことも謝りつつ次に会う時のことについて話した。

会話の最後に

 

・これからは朝晩毎日連絡取り合おう!お互い些細な関係で話し合える関係になりたいな!

 

と新たな条件が追加された。

誓約と制約が強まった場合リターンが大きくなるとは言うけど、この関係においても当てはまるのかな?とかモヤモヤしながら眠りについた。

 

最終決戦

やり取りがあった二日後の土曜日浅草で遊ぼうという話になった。

実はこの日両親が祖母の家に帰っているため、実家はがら空きだった。

「キョウオレンチダレモイナインダ」という伝説の呪文を唱えられる状況ではあったが、あまり気乗りはしていなかった。前述のやり取りでシンプルに好感度があまりよくないことも分かったし、セックスで解決できる問題でもない気がするなと思っていた。

そんなこともあり、前日の夜のラインでは「今日両親以内から自炊するー」みたいな適当なことを送った。その後通話しているうちに、明日の夕飯をどうするかという話になった。

「浅草はもんじゃとか美味しいもの一杯あるし適当に外で食べよう」

「えっ、自炊しないの?」

「夜は一緒に食べない感じ?」

「いやお家行って一緒にご飯作って食べない?食費浮くし」

 

 

セックス確定演出入りました。

 

 

人間関係を円滑に進める最適な手法はボディランゲージなのです。肉体言語以外に世界共通言語はあるのだろうか?

 

その夜、両親の不在中に家を大掃除する孝行息子になったのは言うまでもない。

 

当日、スカイツリー周辺でブラブラと遊び、夕方くらいには最寄り駅に着いた。

帰路の途中、自分の家があまり立派ではないことに引け目を感じていたため、相手の期待値を下げるためにいくつか確認をした。

「うちのマンション彼女ちゃんの家みたいにタワマンじゃないしゲストルームも無いからね、ここら辺の建物の高さ見たらわかると思うけど」

「えーでもペケ君の家お父さん銀行マンだしそれなりに広いんでしょ」

前に確かにうちの父親の職業の話をしたが、うちの父親は大手企業の銀行マンを10年以上前にやめ、今は中小企業で人材紹介をしているということも話していたと思った。微妙に話が噛み合わないなと思いつつ重い足取りを進めた。

「今日自分の家でよかったの?」

「えー逆に実家空いてるのに誘わないんだって思ったから、こっちから言ったんだけど」

この瞬間、多分僕はギンギンだったと思う。単純な男だ。

 

家に着き、お茶を出しリビングでくつろいで彼女の第一声が

「ペケ君の部屋ベッドじゃないんだ?」

僕の部屋はリビングに直結した和室の部屋だ。正直ここら辺も実家に呼ぶのをためらってた理由で、正直ホテルとかに行きたかった。

微妙な緊張感に包まれ会話が途切れかけた頃、近所のスーパーに夕飯の買い出しをすることになった。

冷蔵庫に鶏肉が残っていたのでオムライスを作ろうという流れになった。スーパーで二人で買い物をしている時、僕はただひたすら幸福を嚙みしめていた。ここ数年間、地獄のような環境でうつろな目をしながら日々を生き延びることだけを考えていたので、なんて穏やかな日なんだと感動した。Life is beautiful.

家に帰り、さっそく二人でオムライスを作り始めた。BGMは穏やかな調理場面にそぐわないチェンソーマンのedメドレーだったがHappy Luckyだった。

そうして完成したオムライスを食べ、酒を飲みリビングのテレビ前に移動した。我が家にはソファなんておしゃれの物は存在しない為、ありったけの座布団とクッションを敷いて迎え入れた。

 

適当にテレビを見て話すうちに少しずつボディタッチを重ねていった。彼女があまり拒否をしてこないので、いけると思い、

「もっとしてもいい?」

「私が決めることじゃないから」

そういって体を委ねてきたので僕はキスをした。

僕らはこの日までキスもしていなかったのだ。

大学生のくせにwwwと言われても仕方ないし、この後の展開においては、それすらも問題だったんだと思う。

二回ほどキスをした時、彼女は唐突にこう言った。

「ちょっと待って」

ゆっくりと体を押しのけてきたので僕はそれに従った。

 

 

 

 

彼女は少し困惑した顔をしていた。

「こいうことをしたら恋愛感情が0から1に代わると思ったけど...変わらなかった...」

 

 

 

 

 

 

時が止まった。

正直何を言っているのか理解出来なかった。というよりなぜこのタイミングでそれを言うのかが分からなかった。

普通に考えて恋愛感情を抱いていない相手とそういうことをしても、劇的に何かが変わるわけではないと思うし、そもそも最初に好意を抱いてない相手なんてものは、滅多に評価が変わらないことは何となく理解していた。

だから、告白して好意を持てないと言われた瞬間に詰んでるなと思っていた。それゆえに、この日家に来たこと自体もずっと謎だったし、彼女のことを本当に理解できないと思う最後のきっかけになった。

ただ、そんなことを混乱した頭の中で考えても整理できるはずもなく、まだセックスをあきらめきれていなかったため、彼女へと近づいた。

彼女はもう一度キスには応えてくれたが、

「三回したでしょ、終わり!」

と言い放ち拒絶されてしまった。

パワーちゃんかよとか考えたけど、それは言葉にならなかった。

むしろそこまで拒絶するのかと少し笑えてきた。

そうして膠着状態が続き、そこからは本番交渉をする僕と恋愛観を語る彼女という地獄の構図が生まれた。

話はそれるが、秘書さんの送別会でセックス推進派だった医者が、

「二人きりでいる所をドローンで中継してくれるなら1万円やるよ」

と言っていたけど、今の状況なら5万円くらい貰えそうだなと思った。

 

一応お互い対話をしているが、僕が隙を狙うケダモノの目をしていたせいか、彼女は1つ提案をしてきた。

 

「じゃんけんで3回連続で勝ったら続きしてあげる」

 

彼女がその場でじゃんけんに三回連続で勝つ確率を計算できていたとは思わないが、おそらくほぼ確実に断れると思っての提案だろう。

僕の方も確率の計算なんてその場でできなかったし、引くに引けなくなってしまったので、じゃんけんに乗ることにした。

 

一戦目、僕はチョキ、彼女はパーを出し勝利した。

彼女の顔が微妙にこわばるのを確認し、もうこのじゃんけんは勝っても負けても何の意味が無いことを悟った。

 

二戦目、僕はグーを出し、彼女はパーを出した。

「はい、じゃあ終わり。終わりね」

彼女がそう言い聞かせてきた。負けて良かったとは思いきれないけど、それでよかったと思ってしまった。

 

そこからは、彼女が語る言葉に耳を傾けていた。

「恋愛感情が無いのにそういうことをしても意味が無いししたくないじゃん」

恋愛感情無くてもそういうことはできると思う。そうだよね。やっぱそうだよね。」

僕はもうこの時点で完全に心を折られてしまい、彼女のイエスマンとなっていた。

 

「ペケくんのことは内面も外見も悪くないとは思ってるけど、そういうことはしたいと思えないの」

つまるところ生理的に無理ってことだよね。うんわかるよ大丈夫。」

わかりたくねー。

 

「ペケ君が本気で私のことを好きなことはわかったから...」

正直好きかどうかはわからないし今は性欲で動いてる。1か月で3回も振られちゃったよ。」

クッソどうでもいい。

 

お互いの主張をぶつけ合うようで、ただ彼女の言い分を聞くだけの時間が終わり沈黙が訪れた。

シリアスな空気をできるだけ避けたかったため、映画でも観る?と言い僕はアマプラで適当なクリスマス映画を探し一番上に出てきた「天使がくれた時間」を流し始めた。

開始五分でカップルが空港での別れを惜しみキスをし始めた映像が流れ殺意を覚えた。

それから5分もしないうちに

「ごめん映画に集中できる気がしない」

と彼女はぽつりと言ったため、駅まで見送ることになった。

 

家を出る前、僕は引き出しの中からukaのネイルオイルが入った小包を取り出した。契約更新の電話が来た次の日に先輩に相談したら、プレゼントでも渡しとけと言われたため、購入していたものだ。

多分違うんだよなと思いつつも買ってしまったのと、もうこれから渡す機会が無いと感じたのもあり持っていくことにした。

 

駅のホームで電車を待つ間何を話したかはあまり覚えていない。数時間前まではホームから富士山が見えることで盛り上がっていたのが嘘のようだった。電車が来そうな気配がしたので、僕はプレゼントを渡した。付き合った1か月記念に渡そうと思ってたとか適当に嘘をついて渡した。突き返されるのかなと思ったけど彼女は意外と素直に受け取った。

「少しだけ気持ちの整理していい?」

と言われたので、

「落ち着いたら連絡くれたら嬉しい」

とだけ言って別れた。

 

その夜、日付が変わった頃に

「よく考えたけどやっぱりお別れしたい」

「短い間だったけどありがとう楽しかった!」

と二文だけメッセが届いた。

僕がすぐに電話を掛けたら、向こうも少しの間があった後応じてくれた。

自分達の気持ちが一番大事だよねとか適当なことを言って僕は別れを受け入れた。

彼女はこれからは友達の関係でいようねと言った。多分それが妥協点なのだろう。僕自身も異存はなかったので今度紹介してくれた後輩と三人で飲もうねと誘った。向こうもESの添削お願いするかもとか1月にある僕の誕生日のプレゼントは用意するねとか言った。

 

その日から今日まで一度も連絡は取っていない。

 

それから

僕はその30分後にはパルデア地方に旅立っていた。心が解放された気分だった。自分自身も縛り付けられていたし、相手のことも縛り付けているようで窮屈な関係だと感じていたので、ちゃんと解放されたと思った。

 

その2時間後くらいに僕達の関係を応援し相談してくれていた先輩達から電話がかかってきたので、一連の流れを説明した。僕は終始へらへら笑っていたが、聞いてる先輩はすごくつらそうな感じで話してるこっちが申し訳なくなった。

裏にいた医者の先生からは症例報告呼ばわりされたけど、あながち間違いでもないなと思った。n=1終わったからちゃんとn=2では生かせよと激励の言葉を貰った。

 

通話を終えた後、ひたすらパルデアでの冒険を進め、充電が切れると同時に僕も眠った。昼頃に目が覚め、フライパンに残ってたチキンライスを食べた。特級呪物になりそうなものは全て処分したかったのだ。

 

2日後には、研究室の事情を知る人にはある程度知れ渡ったが、慰められるか、爆笑されるかの二択だった。M1のさや香の決勝ネタを忘年会でやればそこそこ受けるんじゃないかなと思ったりする。

 

終わりに

以上がここ二、三か月の成果である。一部省いたりしたところもあるが、大体の流れはほぼこの通りである。自分でも意外とよく覚えてるものだと思うが、実はじゃんけんの下りは記事を書く前日に紹介者の後輩と飲むまですっかり忘れていた。なぜこんなに衝撃的なことを忘れていたかは謎だが、多分僕がセックスにかける思いはその程度だったのかもしれない。

あと今年の「岸部露伴は動かない」はジャンケン小僧のエピソードらしい。僕は露伴先生になれなかったよ。

 

www.nhk.jp

 

1月に修論書き終えたら、マッチングアプリを始めるなどして学生最後の時間を楽しもうと思うので、その時はまたこんな感じのクソ文章が流れると思います

 

それではまた次回お会いしましょう!